【法律コラム】パパ活の契約でよくあるトラブル
パパ活サイトや出会い系サイトで多いトラブルの一つが金銭トラブルです。以下の事例は、パパ活に特化したサイトで知り合った女性といわゆる「パパ活契約」をし、実際に被害に遭った男性の体験談です。
パパ活サイトに登録をしたところ、学費に困っているという女子大生と知り合いました。そこで、お小遣い名目で1万円を渡し、デートすることになりました。
会ってすぐに1万円を渡したところ、「トイレに行きたい」と言われ、道中の公衆トイレに行き、自分もトイレに行った後、女子大生を待っていました。しかし、いつまで経ってもトイレから出てきません。
10分、20分と待っていても、女子大生は出てこず、30分過ぎた頃にラインを送ったところ、ブロックされていました。
この女子大生が同じことをして、被害者がこれ以上でないためにも警察に届けたいと思っています。しかし、自分が罰せられるのではないかと思うと躊躇もしています。
どうしたらいいでしょうか?
まず、相談者の「自分が罰せられるのではないか」という心配ですが、お話を伺う限りでは、相談者の行動を罰する法律はありません。
デートする代わりにお小遣いを1万円渡したという行為は、デートという同じ時間を共有する約束で金銭を支払ったのですから、雇用契約の一種と考えられます。
贈与契約だとする考え方があるかもしれませんが、贈与は相手に金銭や物を渡し、相手はそれに対して何も負担する必要のない契約です。親が子どもにお小遣いをあげる、女性が男性にバレンタインデーにチョコレートをあげるなどが、贈与に当たります。
しかしこの事例では、「デートをする」というサービスを前提として、1万円を渡す約束をしていますから雇用に該当するします。
報酬を前払いで受け取りながら、実際にこの女子大生は、デートというサービスを行わなかったのですから、債務不履行となり、相談者は1万円の返還を請求することができます。また女子大生に、最初からデートする気がないまま1万円を受け取るつもりだった場合には、刑法上の詐欺罪に当たります。ただし、そのことを相談者は立証しなければなりません。
警察に通報する方法もあるかもしれませんが、警察は基本的に「民事不介入」ですから、不法行為による返還請求は、個人で話し合ってくださいと言われるでしょう。
また、刑事件である詐欺行為という観点で相談しても、「あなたに下心があったのでは。」など色々と尋ねられてしまい、かえってあらぬ疑いをもたれる可能性もあります。
ここは少し高い授業料を支払ったと諦めて、今後の戒めにした方が良いと思います。